本日はタンパク漏出性腸症という病気についてお話しさせていただきます。
タンパク漏出性腸症とは腸管から多量の蛋白が漏れ出てしまう病気です。
症状は慢性的な下痢がみられることが多いですが、下痢を起こさない場合もあります。その他には嘔吐や体重減少がみられ、重度の場合は浮腫や腹水、胸水による呼吸困難がおきることもあります。
血液検査では低アルブミン血症を伴う低タンパク血症が特徴です。
肝機能障害によるアルブミン合成障害、タンパク漏出性腎症との鑑別を行い診断します。
原因はリンパ球形質細胞性腸炎などの炎症性腸疾患、腸リンパ管拡張症、腸のリンパ腫などで、これらを調べるためには内視鏡検査や開腹による生検が必要です。
原因に応じた治療を行うのが原則ですが、重度で緊急を要する場合や全身麻酔による検査を望まない場合は、ステロイド剤などの薬物治療と食事療法を行います。
治療は長期間あるいは生涯行わなければならないことがほとんどです。