「アレルミューンHDM」について詳しく知りたいという意見があったので、説明させていただきます。
「アレルミューンHDM」は国内初の犬アトピー性皮膚炎用減感作療法薬で、犬アトピー性皮膚炎の主要なアレルゲンの1つであるDer f 2抗原を有効成分としています。
Der f 2抗原とはハウスダストマイトの中のコナヒョウヒダニから分離された蛋白抗原で、ヤケヒョウヒダニから分離された蛋白抗原のDer p 2と交差性があり、これらはグループ2アレルゲンと呼ばれます。
そのため「アレルミューンHDM」に含まれるのはDer f 2抗原ですが、グループ2アレルゲンによる犬アトピー性皮膚炎に有効です。
Ⅰ型アレルギーでは肥満細胞という細胞の表面のアレルゲン特異的IgEというものにアレルゲン(抗原)が結合してアレルギーのスイッチが入ります。
グループ2アレルゲンの感作が認められる犬に「アレルミューンHDM」を投与すると、Der f 2特異的IgG抗体というものが産生されグループ2アレルゲンと結合することにより、グループ2特異的IgEとグループ2アレルゲンの反応を遮断し、症状を緩和します。
投薬はハウスダストマイトのIGEが陽性犬に、皮膚の感染症や食物アレルギーの除外あるいは治療後に行ないます。
Der f 2に反応性かどうかも検査できますので、それも検査してから投与することが望ましいです。
実際の投薬は週に1回の皮下注射になります。
「アレルミューンHDM」には6段階の濃度があり、濃度の低いものから徐々に高いものにしていき、通常5回ないし6回の投薬を行います。
臨床試験では6回投与群の方が5回投与群よりも1年後の治癒率が高かったそうです。